MCTオイル? 中鎖脂肪酸? 痩せるって本当?
最近は、ダイエットに良いなど身近なスーパーでもMCTオイルやココナッツオイルが販売されていますね。これらは「中鎖脂肪酸」を含む油で、エネルギーになりやすいという特徴をもち、食事に取り入れている方も多いようです。この中鎖脂肪酸について少し詳しくみていきましょう。
中鎖脂肪酸とは
まず私たちが食事から摂取する油の質は、含まれる「脂肪酸」の種類によって決まります。例えば、青魚にはDHAやEPAが含まれていると聞いたことがあるかと思いますが、これらは脂肪酸の種類を指します。その他、サラダ油にはリノール酸という脂肪酸が多く含まれています。脂肪酸の種類はとても多く、その組成は細長いつくりをしています。
脂肪酸は組成の長さによって、長鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、短鎖脂肪酸と分類されています。バターや魚や肉、こういった油は長鎖脂肪酸が多いです。組成が長いほど体内での分解に時間がかかりますので、中鎖脂肪酸とは、脂肪酸の中でも中ぐらいの長さで、長鎖脂肪酸ほど分解には時間がかからない脂肪酸ということです。
MCTオイルの効果
MCTオイルとは「Medium Chain Triglyceride(中鎖脂肪酸)」の頭文字をとったもので、中鎖脂肪酸100%の油ということです。ちなみに、ココナッツオイルは中鎖脂肪酸だけでなく、長鎖脂肪酸も含まれています。
中鎖脂肪酸をダイエットに活用することを考えた時「脂肪をエネルギーに変える」仕組みを理解する必要があります。私たちがエネルギーを生み出すのは、細胞内のミトコンドリアと呼ばれる場所です。このミトコンドリアにはエネルギーを生み出すことはできません。バターやオリーブオイルといった油をミトコンドリアに入れるためには、「カルニチン」という物質が必要です。ですがMCTオイルをミトコンドリアに入れる時には、カルニチンが必要ないのです。そのため、MCTオイルは他の油に比べてエネルギーになりやすいため、脂肪が燃えやすいということです。ちなみに、ラム肉にはこのカルニチンが多く含まれており、一時期「ダイエットに良い」と流行しました。
ちなみにココナッツオイルは、MCTオイル程エネルギー効率は良くはありませんが、抗菌作用があるとされ、腸のカビといわれるカンジダ菌の殺菌に使われたりしています。
MCTオイルの注意点
MCTオイルは効率的にエネルギーを生み出すことができ、脂肪燃焼に効果的である一方で、
- 筋肉量が少ない
- 肝臓の機能が弱い
- ビタミンやミネラルなどの栄養素が足りていない
こんな方は効果が出ない場合もあります。
エネルギーをつくり出すミトコンドリアは、筋肉に多いです。そのため筋肉量の少ない方は、そもそもエネルギーを生み出す場所が少ないため、MCTオイルを摂ってもエネルギー量は増えません。さらに食事からの栄養補給が切れた時にエネルギーをつくるのは肝臓です。肝臓が弱っている方はMCTオイルの効果は低いです。そして、エネルギーをつくるにはビタミンやミネラルが欠かせません。日頃から栄養バランスが偏っている方はエネルギーを生み出す回路が回りません。
痩せたい場合にまず行うことは、運動、栄養バランスのとれた食事、アルコールの摂り過ぎは控えるといった、基本的なことなのです。 MCTオイルが効果を発揮するのは、健康的で、日頃から食事、運動、睡眠がしっかりとれている方です。