食べたものが吸収される場所「腸」

私たちが食事をすると、食べたものは口から食道を通り、胃へ到達、そして小腸から体内に栄養が吸収されます。小腸が体内への入り口であり、その入り口を越えて初めて、私たちの細胞の栄養として摂り込まれます。栄養を考える時には、何を食べるかだけではなく、消化吸収されているかがとても重要です。

腸の役割

腸は私たちが食べたものを「消化」し、体内に「吸収」させ「解毒」を行う場所です。

ご飯やお肉など、私たちが食べるものは、そのままの状態で吸収することができません。歯で噛み砕き、胃腸から分泌される消化酵素の働きによって消化されて初めて、体内に吸収されます。例えば、ご飯などに含まれる糖質はブドウ糖に、お肉などに含まれるタンパク質はアミノ酸に、そして油は脂肪酸といった形に分解されます。

さらに腸では、身体には毒となるような物質は吸収しないよう、除去するための免疫機能も働いています。例えば、古くなった食品を食べた時、腹痛が起きたり、下痢や嘔吐をしたりといった症状がでますよね? これは、「異物」を排出するために起こる身体の反応です。

それだけではなく、食べ物と一緒に摂取してしまう環境ホルモンや発がん物質なども除去するために、解毒機能も働きます。

このように腸は、身体に必要なものと不必要なものを見分けてくれるために、とても重要な組織なのです。

腸内環境の悪化

腸の働きは、私たちの健康のために欠かせないものです。

それにも関わらず、腹痛や便秘、下痢など胃腸のトラブルを抱えている人も多くいます。これらの症状を持つ人は、腸内環境が悪く、消化や吸収、解毒機能が正常に働きません。そのため、食事を摂っていたとしても、その栄養が体内に吸収されている可能性は低くなります。

You are what you eat=私たちは、私たちが食べるものでできている」という言葉はよく言われますね。

一方で食べるだけではなく、栄養や健康のことを考慮する時、それが消化吸収されているかどうかも考えなければなりません。「You are what you digest.=私たちは、私たちが消化したものでできている」という言葉も意識したいですね。

栄養吸収するために

胃腸の機能を高めるために、すぐできることを考えていきましょう。

  • よく噛み、リラックスして食事をする
  • 積極的に、食物繊維を摂取する
  • 十分な睡眠と適度な運動

食事という行為は、リラックスした「副交感神経」の働きが大切です。例えば、仕事をしながら片手間にパンをかじるといった食事では、身体がリラックスできず交感神経モードに入りやすいため、腸の働きが抑えられてしまいます。食事はしっかり時間をとり、楽しく、美味しく食べましょう。

そして腸内環境を良くするためには、食物繊維が欠かせません。食物繊維は腸内細菌のエサとなり、消化吸収機能を助けてくれます。さらに十分な睡眠や適度な運動は、腸の蠕動運動を活発にし、排便を促すために重要です。腸内環境改善のために、まずは、すぐにできることから始めてみましょう。