「肥満」の実態とリスク

 コロナ過において体重が増えてしまったと感じている方は多いのではないでしょうか 。外出の機会が減ることでの運動不足、生活リズムが乱れて疎かになった食生活、栄養バランスの悪い食事、不安やストレスを抱えての過食など、原因は様々かと思います。今回は肥満について考えていきましょう。

「太る」とは?

肥満度の判定には、国際的な標準指標であるBMIBody Mass Index)=[体重(kg)÷[身長(m)2]が用いられています。肥満は「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上のもの」と定義づけられています。

「太りやすい」場所って、ある程度決まっていますよね? お腹やお尻、太もも、二の腕は脂肪が付きやすいといわれていますが、これらは脂肪細胞と呼ばれる細胞が多い場所なのです。私たちは食事をすることで生命活動に必要なエネルギーをつくり出し、そのエネルギーを消費しながら生活しています。ですが、必要以上の糖質や脂質は余剰となって、脂肪細胞に蓄積されていきます。脂肪細胞には「脂肪滴」という油の塊があり、脂肪をとりこむと、この脂肪滴がどんどん膨らみ、パンパンな脂肪細胞になります。脂肪滴が膨らむと、直径は1.3倍、体積は2.2倍程になるといわれています。しかもこの脂肪細胞は、250から300億個もあるため、身体はまさに、すし詰め状態になってしまいます。

さらに、今ある脂肪細胞に脂肪をとりこめなくなると、今度は新たに脂肪細胞をつくり、またその細胞に脂肪を溜め込んでいくため、パンパンに膨れ上がった脂肪細胞が増え続けていきます。

脂肪細胞からメッセージが送られる⁉︎

脂肪細胞は「メディエーター」と呼ばれるメッセージ物質を分泌することで、身体に様々な指令を出していることがわかってきています。私たちの細胞同士は、お互いにメッセージのやり取りを行うことで身体のはたらきを調節し合っています。

通常のヒトの脂肪細胞からは「炎症を抑える」働きをもつメッセージ物質が分泌されるのですが、肥満のヒトの脂肪細胞からは「炎症を促進させる」メッセージ物質が分泌されます。炎症とは免疫反応であり、身体を守るはたらきをもちます。炎症は身体に必要なことで、一時的なものであれば問題ありませんが、肥満状態などで慢性的になると、免疫異常を引き起こしたり、インスリンの効きを悪くして糖尿病の原因となったりと、様々な悪影響を及ぼしてしまうのです。肥満状態が続けば炎症が続くことになるので、身体はずっと戦っているようなものです。この状態から抜け出すためには、肥満を解消するしかありません。

肥満が及ぼす病気のリスク

肥満は、実に多くの病気の要因となります。

先に説明したように、大きくなった脂肪細胞から分泌されるメッセージ物質は、インスリンの効きを悪くして、糖質を細胞に取り込めずに血糖値が下がらず、糖尿病の原因となります。さらに、LDLコレステロールや血中の中性脂肪が必要以上に増えたり、HDLコレステロールが減った状態のことを指す脂質異常症をも引き起こしたりします。LDLコレステロールが増えすぎると、血液がドロドロの状態となり動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高くなるため、他の病気とも関連します。

肥満は身体に負担をかけ続けます。人混みを避けて散歩をしたり、余計な間食は減らし、栄養バランスのとれた食事をとり、決して無理をすることなく健康的な生活を送りましょう。