「チョコレートが欲しくなる」理由を考えてみる

「チョコレートが好き」という方いらっしゃいますよね。自覚がなくてもお仕事中、家事の合間に「チョコレートをつまんでいる」という方は意外と多いと思います。チョコレートが美味しいのはもちろんですが、なぜチョコレートが欲しくなるのか、栄養学的に考えてみました。

理由その1 エネルギー不足 

チョコレートが欲しくなる理由のひとつ目は、エネルギー不足です。私たちは日々生活するためのエネルギーを食事から得ています。糖質、脂質、タンパク質を材料にしてエネルギーがつくられますが、この中でも脂質とタンパク質はエネルギーになるまでに手間と時間がかかり、糖質はすぐにエネルギー補給ができます。糖質は即効性のあるエネルギー源なのです。

最近ではハイカカオ(カカオの含有量が多いチョコレート)も増えてきていますが、コンビニやスーパーで安価で買うことのできるミルクチョコレートの原材料は、ほぼ砂糖です。つまりチョコレートを欲している状態は、砂糖を欲してしまう程、エネルギー不足に陥っているのですね。手っ取り早くエネルギーを補給するためには、チョコレートが役立つかもしれません。ですが弊害もあります。砂糖を多く含むチョコレートは、食べたことで、糖分が血液中に流れ込み、血糖値を急上昇させます。ジェットコースターのように急上昇した血糖値は、次に急降下します。するとイライラや眠気を感じたり、再びエネルギーとしての糖質を欲したりすることになってしまいます。

理由その2 マグネシウム不足

チョコレートを欲する時には、マグネシウムが不足している可能性があります。チョコレートは、マグネシウムを多く含んでいます。マグネシウムは、身体の代謝反応に多く必要であり、筋肉の弛緩や血液の循環に関わるため、不足することで頭痛や筋肉疲労、生理痛や便秘など、様々な症状が引き起こされます。さらに、血糖値の調節や神経系のはたらきにも関係するため、精神的な安定のために無意識レベルでチョコレートを欲することが考えられます。特に女性は、毎月の生理前にはチョコレートが食べたいと感じたことのある方は多いのではないでしょうか? マグネシウムは、エストロゲンとプロゲステロンと呼ばれるホルモンの調節にも必要なため、PMS(月経前症候群)の症状のひとつとして「甘いものが欲しくなる」ことが考えられます。

チョコレートの渇望を減らすために

このように、「チョコレートが食べたい」のは、エネルギー不足、血糖値の低下、マグネシウム不足が原因と考えられます。チョコレートを食べることでこれらを改善することができるかもしれませんが、デメリットもあります。先にお伝えしたように、砂糖の多いチョコレートは血糖値の急上昇急降下を招き、精神的な不安定感、血糖値のコントロール不良を引き起こします。そして、糖尿病や肥満のリスクもあります。そのため、できるだけチョコレートを食べなくても大丈夫な状態にしていることが大切です。エネルギー不足に陥らないよう、3食バランスの良い食事を摂る、血糖値の安定のため、炭水化物の摂り過ぎには注意する、日頃からマグネシウムの豊富な海藻や魚介類、大豆製品などを積極的に摂るといったことが大切です。