カルシウムの重要性
様々な食材や食品があふれる現代ですが、栄養素が不足している方が多いのが現状です。不足しがちな栄養素の1つにカルシウムがありますが、その理由として、偏った食生活に加え、カルシウムの排泄作用のある加工食品を摂る機会が増えていることも挙げられます。今日は、カルシウムの効率的な摂取について考えていきましょう。
カルシウムの役割と必要量
カルシウムは大人の体内に約1kg含まれており、そのうちの99%は骨や歯に、残りの1%は血液や細胞に含まれ、下記のような働きをもちます。
- 骨や歯をつくる
- イライラやストレスを抑え、気持ちを安定させる
- 筋肉を収縮させる
- 体内のイオンバランスを維持する
丈夫な骨や歯をつくるためにカルシウムは必須ですよね。
それに加えて、神経伝達やイオンバランスの調整に関わる等、生命活動を送る上で欠かせないため、量が減少すると骨を溶かして濃度を保とうとするように、体内に占める割合としては低い、血液や細胞内にあるカルシウムもとても重要な役割をもっています。
カルシウム摂取の推奨量は、30~49歳男性750mg、女性650mgです。(日本人の食事摂取基準 2010年版)
なぜカルシウムが重要なのか
カルシウム不足は、下記に示すように身体に様々な影響を及ぼします。
骨粗しょう症、心疾患、高血圧症、動脈硬化、認知障害、免疫異常、糖尿病、肥満などの病気だけでなく、イライラするなどの精神症状、こむら返りなどの筋肉症状の原因にもなります。
日本人のカルシウム摂取量は、30~39歳男性395mg、女性406mgと、推奨量に対してかなり少ない数値です。(令和元年 国民健康・栄養調査)
現代人は摂取量が少ないだけでなく、摂取したカルシウムが排泄されてしまっている可能性も高いです。というのも、スナック菓子や冷凍食品などといった加工食品に多く含まれるリンは、体内のカルシウムを排泄してしまいます。せっかく摂ったカルシウムがムダになってしまっているかもしれません。
反対にビタミンDは、カルシウム摂取を促進させる働きがありますので、ビタミンDを含む食品を積極的に摂ることで、カルシウム吸収を高めることができます。
加えて、カルシウムサプリメント等を使う場合、過剰摂取による高カルシウム血症や軟組織の石灰化、泌尿器系結石、鉄や亜鉛の吸収障害などの障害も起こり得ますので、カルシウムは食品からの摂取をおすすめします。
カルシウム補給できる食品とポイント
カルシウムが多く含まれる食品は、乳製品や小魚、大豆製品や海藻などです。それぞれ含まれるカルシウム量は、牛乳コップ1杯には220mg、ひじきの煮物1食分には140mg、厚揚げ1/2枚には240mg程です。
カルシウムというと乳製品を思い浮かべる方が多いかと思いますが、乳製品をとる場合にはいくつか注意点があります。乳製品に含まれるカゼインというアミノ酸は人によっては消化が難しく、腸を荒らしてしまう危険性があります。さらに、カルシウムとマグネシウム比率が悪く、体内のバランスを崩してしまうということも起こりますので、気を付けて摂取してください。