腸内環境を整える食事

最近では「腸活」という言葉が使われるように、腸の状態を重視する方が増えてきていますね。腸は、免疫やメンタルとも深い関わりがあり、腸内環境を整えることは、健康のために必須ともいえます。

今回は腸の役割、そして腸内環境を整えてくれる栄養素についてみていきましょう。

腸の役割

腸は、なぜ重要なのでしょうか?

重要といわれる理由は、食物をはじめとする栄養素、そして身体には必要のない異物までも、外から入ってくる入り口だからです。私たちは従属栄養生物といい、生命を維持するための栄養を外部から取り入れる必要があります。

食事をして歯で噛み砕かれ、消化液で消化された食物に含まれる栄養は、腸の細胞から取り込まれます。そして、栄養だけでなく異物も入り込みます。

ですが、腸は異物を排除する仕組みも持ち合わせています。身体に必要なもの以外を吸収してしまうことのないよう、必要なものとそうでないものを見分け、必要でないものは体内に入れないようなシステムが出来上がっているのです。

そして日頃の食事やライフスタイル、精神状態など、様々な要因で腸内環境は悪化してしまいます。すると栄養の入り口から、必要なものが吸収されず、逆に異物が入ってきてしまうといったことになります。

腸内環境を整える栄養素 ビタミンA、ビタミンD

腸の入り口は上皮細胞と呼ばれる細胞同士ぴったりとくっ付き、異物の侵入を防いでいます。さらにその外側は粘膜で覆われ、この細胞同士の結合と粘膜が異物を排除する役割をもっています。この入口の扉をしっかり締めておくために、ビタミンAやビタミンDが重要な役割を果たしてくれています。

ビタミンAは粘液層でのバリヤ機能に役立ち、ビタミンDは上皮細胞の結合をより強固なものにしてくれます。

反対に、この腸の細胞同士を離してしまうはたらきをもつのが、小麦製品に含まれるグルテンです。グルテンがつくり出すゾヌリンという物質が、本来であればぴったりとくっ付いている細胞同士を離してしまう作用があります。

ビタミンAの含まれる卵や人参、ほうれん草、ビタミンDに含まれるカツオやサンマ、舞茸などを取り入れてみてくださいね。

腸内環境を整える栄養素 グルタミン、酪酸

腸を動かすエネルギー源となるものが、グルタミンと酪酸と呼ばれる物質です。腸を動かすためには栄養から得られるエネルギーが必要です。

グルタミンはアミノ酸のひとつで、肉や魚、大豆などに含まれます。ストレス時に胃腸機能や粘膜機能を助ける働きをもっていて、消化性潰瘍の治療薬としても用いられています。

そして何より、腸を動かすエネルギーとして利用されます。そして、乳酸菌やビフィズス菌などと同様の善玉菌である酪酸菌は、主に大腸のエネルギーとなり、腸の状態を整えます。

食物繊維を分解、発酵することで酪酸をつくり出し、腸の蠕動運動を促進させて便通を良くしたり、水分やミネラルの吸収を促進させたりするはたらきもあります。

ぬか漬けなどに含まれていますが、食品から多くを取り入れるのは難しいため、酪酸菌の餌となる食物繊維を摂食的に摂取することがおすすめです。