「疲れがとれない」原因は、貧血?

血液は全身を巡ることで、酸素や栄養素といった、身体に大切なものを各組織に届けています。その血液の成分が不十分な場合、必要なものが全身に送られず、身体の機能が低下し、体調不良の原因となります。

今回は貧血が引き起こす症状などを確認していきましょう。

貧血症状は実に様々

貧血というと、立ちくらみや頭痛といった症状をイメージすることが多いかと思いますが、その他にも、冷え、倦怠感、だるさ、肩こり、朝起きられないなど、一見したところ貧血とは関係ないように思える症状もみられます。

貧血と診断される基準は、血液の成分であるヘモグロビンが、成人男性は13.0g/dl、成人女性と小児(男女)は12.0g/dl未満、高齢者(男女)は11.0g/dl未満だといいます。

ヘモグロビンには鉄が含まれており、鉄が不足しているとヘモグロビンが十分につくられないことから、基準値として用いられます。鉄が重要な理由は、酸素と結びつきやすい性質をもっていることです。

私たちの身体には酸素が必要不可欠で、身体の至る場所で必要とされています。ヘモグロビンとくっ付いた酸素が、血液を通して全身に運ばれるからこそ、鉄が重要なのですね。

鉄と酸素が足りないとエネルギーをつくれない

貧血は、倦怠感やダルさ、疲れがとれないといった疲労症状があらわれます。

なぜかというと、鉄や酸素が足りないと活動するためのエネルギーをつくることができないからです。生命活動を維持するために必要なエネルギーは、私たちの身体を構成する細胞の中で生み出されます。

少し専門的なお話になりますが、TCA回路や電子伝達系といった、エネルギー回路に栄養素がまわることでエネルギーがつくられます。この時に糖質や脂質というようなエネルギーをつくる材料に加えて、ビタミンや鉄などのミネラル、そして酸素が使われます。

このように鉄と酸素は重要な役割を果たしているので、不足しているとエネルギー不足に陥ってしまうのです。すると元気が出ない、疲れがとれないなどの疲労感へとつながるんですね。

エネルギーがつくられないということは、代謝が低下してできるだけエネルギーを無駄遣いしないようになります。そのため、日中の活動量は少なくなり、血液を全身へ届ける力が弱くなることで末端に酸素が回らず、手足が冷えたりします。

このように貧血は多くの体調不良に関わっているのです。

貧血症状を改善させるために

貧血症状を改善させるため、日頃の食事から鉄を積極的に摂取しましょう。鉄はレバーや赤身肉、ほうれん草や卵、納豆などの食品に多く含まれます。女性は月に1回の月経により、多くの血液や鉄が失われます。

そのため、女性は貧血症状が起きやすいですので、意識的に摂り入れることが大切です。サプリメントで摂取している方もいらっしゃいますが、サプリメントは食品とは違い、鉄が高容量で含まれていますので注意が必要です。

鉄は腸に棲むカンジダ菌のエサであり、エサが豊富な状態でカンジダ菌が増殖してしまうと、身体に悪さをし始めます。その結果、疲労症状や頭痛など、様々な身体の不調を引き起こします。

もちろん重大な鉄不足の時には一次的にサプリメントを使用することも必要ですので、体調が良くない方は、一度病院を受診してくださいね。