ストレスと自律神経

 「自律神経」という言葉、よく聞きますよね。 「自律神経のバランスが大切」や「自律神経失調症」など、話題に上ることがあるかもしれません。

今日は私たちの精神的な安定、そして身体の機能を整えるために重要なはたらきを持つ、自律神経について見ていきましょう。

自律神経とは

自律神経とは、その名の通り「自律している」神経です。

自分の意識とは関係なく動いている器官を管理してくれている神経です。例えば、心臓や内臓は私たちが意識的に動かしているわけではありませんよね?

意識しなくても心臓は動いてくれて、何かモノを食べれば意識せずとも内臓が動き出して食べ物を消化してくれます。このように、自律神経が適切に働いてくれることで、私たちは生きることができているのです。

自律神経は、交感神経と副交感神経の2つにわけられ、それぞれ異なる働きを持ちます。

例えば、心臓の動きをみていくと、交感神経は心拍を速め、副交感神経は心拍を遅くします。瞳孔の動きでは、交感神経は瞳孔を広げ、副交感神経は瞳孔を収縮します。

これらは、時と場合によって交感神経が優位になる時、副交感神経が優位になる時、というように無意識にコントロールしながら生活しています。

交感神経と副交感神経の切り替えが大切

交感神経は「逃走、闘争反応」とも言われ「逃げるか戦うか」の時に働き、副交感神経はエネルギーを温存し体力を回復させる時に働きます。

ここでは、自律神経のバランスが乱れることについて考えていきましょう。

例えば忙しい現代人は、交感神経が優位になりやすい生活だと考えられます。長時間労働や満員電車、上司からの叱咤激励、パソコンやスマートフォンといったデジタルデバイスの長時間使用、質の悪い睡眠など、こういった状況は交感神経が優位になります。

よく言われるように、自律神経は「バランス」が大事なのです。交感神経と副交感神経のスイッチがその時々に応じて切り替えられてこそ、身体はうまく機能してくれます。スイッチがずっとオンの状態で、緊張状態が長く、身体が「逃走、闘争」モードの時間が長くなると、自律神経のバランスが崩れます。すると、様々な弊害をもたらします。

例えば、食べ物の消化。私たちが食べ物を食べるのはエネルギーを温存させる時ですから、副交感神経の働きです。副交感神経にスイッチが入ることで消化酵素や胃液が分泌され、消化管の蠕動運動が促され、食べ物からエネルギーを生み出し、身体に蓄えます。

そして、消化後に不要なものは尿や便から排泄されます。緊張していると食欲が湧かないといった経験をした方もいるかもしれません。

このように、自律神経のバランスが崩れることにより、食べ物からの栄養がしっかり吸収できないといったことにつながります。

自律神経を整えるためには

自律神経のバランスを整えるためには、体内リズムを整えることが大切です。

毎日決まった時間に起き、太陽の光を浴び、3食バランスの良い食事を摂り、睡眠時間を十分に確保する、こういった普通のことが何より大切です。現代は便利になり、電気をつければ夜中でも起きていられますし、コンビニに行けば食べ物は手に入り、ずっとパソコンで仕事をしている方も多いですよね。

もちろん、便利なものを利用することは大切ですが、うまくスイッチのオンとオフを切り替えられるよう、意識していくことも大切です。